住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

2016年4月の住宅ローン金利下落は早くも一服

マイナス金利政策を受けて史上最低を更新してきた住宅ローン金利ですが、新年度を迎えた4月は早くも引き上げに転じています。

指標となる10年固定型最優遇金利で、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行が0.90%、みずほ銀行とりそな銀行が0.85%となっています。

2月3月は大手4行が横並びでしたが、新年度に入り差が出てきました。

変動金利ではソニー銀行の住宅ローンで、4月から年利0.499%と0.5%を切ってきました。

全期間固定金利のフラット35では、返済期間20年以下融資率9割以下の最低金利が1.020%と3月と変わらない状態となっています。

 

ここ6ヶ月の10年固定最優遇金利の推移(月初)
 11月12月1月2月3月4月
三菱東京UFJ 1.10% 1.10% 1.10% 1.05% 0.80% 0.90%
三井住友 1.10% 1.10% 1.10% 1.05% 0.80% 0.90%
みずほ 1.20% 1.20% 1.05% 1.05% 0.80% 0.85%
りそな 1.10% 1.10% 1.10% 1.05% 0.80% 0.85%
(参考:フラット35) 1.28% 1.28% 1.27% 1.21% 1.02% 1.02%

 

ここ1年の新発日本国債10年利回りの推移

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マーケット情報 国債利回り : 三井住友銀行

2015年の住宅ローン金利、大幅に史上最低を更新

未だマイナス金利導入騒動もさめやらぬ今日この頃ですが、2015年3月の住宅ローン金利は、過去最低水準からさらに大きく下がりました。
2月中に、三井住友、みずほ、りそなは大きく引き下げていますが、3月1日からはさらに下がっています。
全期間固定金利のフラット35も、返済期間20年以下融資率9割以下の最低金利が1.02%と1%近くまで落ちています。

借り手にとってはうれしいことですが、マイナス金利政策により債券市場の機能度の悪化も懸念されており、もくろみ通りに需要が大幅に増加していくかどうかが気になります。

ここ6ヶ月の10年固定最優遇金利の推移(月初)
 10月11月12月1月2月3月
三菱東京UFJ 1.25% 1.10% 1.10% 1.10% 1.05% 0.80%
三井住友 1.25% 1.10% 1.10% 1.10% 1.05% 0.80%
みずほ 1.20% 1.20% 1.20% 1.05% 1.05% 0.80%
りそな 1.15% 1.10% 1.10% 1.10% 1.05% 0.80%
(参考:フラット35) 1.32% 1.28% 1.28% 1.27% 1.21% 1.02%

 

ここ1年の新発日本国債10年利回りの推移

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マーケット情報 国債利回り : 三井住友銀行

本当に必要な金融リテラシー教育は、年利2%の預金と言われて警戒心を持たせることではないか?

先月のことですが、年利2%の銀行口座に預けたら5年後にはいくらになるか、という記事が話題になりました。

金利2%の銀行口座に100万円を入れたら5年後にはいくらに - Google 検索

多くの人が「税金は?」と指摘されているように、設問自体もあまりよくないのですが、正解が30%もいないという結果に、金融リテラシーの不足という流れにいざなっています。

しかし金融リテラシーを問うのでしたら、2016年初頭に年利2%複利で5年間、という設問からまずは、この金融商品はなにか裏があるのでは? と直感できるかどうかという方がよほど大切なのではないかとおもいます。

http://www.flickr.com/photos/23024164@N06/20471845489

photo by Damian Gadal

高すぎる利回りの金融商品の理由

月現在、日本の銀行で100万円で年利2%複利という一般的な定期預金は存在していません。
異次元緩和と自称するように、大規模な金融政策により、金利はきわめて低い数字に押さえられています。
各銀行の定期預金の金利をみても、比較的高いネットバンク系の定期で、期間限定キャンペーン適用ですら、零コンマの前半です。

もちろん世の中には数パーセントもの金利の預金も存在しています。
ですが、この類の預金は純粋な金利ではなく、一定以上の外貨預金や投資信託とのセットというような条件がつくものしかありません。
当然、セットにさせられるのが金融商品は値下がりリスクがある上に、手数料が高額で利息が吹き飛ぶ可能性もあり、うたい文句しか見ないと損をすることもあります。

売り手側に立ってみれば当然のことですが、リスキーで利回りの悪い商品は多々あれど、その逆はまずありません。郵便局の定額貯金のように裏技があったとしても、世間に広まれば対策されてしまうものです。
あまりに好条件の金融商品に対しては、まず安全性や条件に危険性を感じることが、金融リテラシーの本質ではないでしょうか。

ポジショントークとしての金融教育必要論

金融知識を学校教育で教えるべきだ、という意見はよくあるのですが、これは相手のことを考えてというわけではないのでしょう。
彼らにしてみれば、今、マーケティングで行っている金融商品への興味を、学校教育を利用して植え付け、カモを養成したいというのがその本音ではないかとおもいます。
残念なことですが、大手の銀行だろうが証券会社だろうが、自身が利益を上げることに忠実であり、消費者を儲けさせる仕事ではありません。
学校教育レベルの知識で興味を持った消費者は、絶好のカモ以外の何者でもないのです。

有象無象の投資の勧誘を生業とするビジネスでは、欲望や不安を煽りたて、あやしげな金融商品を売りつけようとしています。
月々5万円の投資で1億円貯められる、というキャッチコピーのとある商品が数々のファイナンシャルプランナーに推薦され、政財界の著名人が関連サイトに登場し、堂々と売られていたということもあります。
月々5万円で1億にするには利回りが....などという前に、この数字からこの商品がおかしいと直感できるようにすることの方が、よほど有意義なことですし、必要なことです。

仕事で知り合った方々から、怪しい投資話が山のようにきます。
それも、話を聞いただけであからさまにおかしなものがほとんどなのですが、熱心に勧められ断るのに苦慮します。
というよりも、そんなあり得ないような話をなぜ信じるのかと不思議になることが多いのです。
たしかに詐欺師は手練手管でその手法は恐ろしいものがあり、だれしも欺される可能性はあります。
ですが、そこまでたいした手を使わなくても、単純に利益や不安を煽るだけで簡単に心を奪われてしまい、内容の信憑性にはまったく関心がない人も少なくありません。

複利の計算よりも、世間でのおいしい話や将来を不安にさせられる話には、まず心を落ち着けて、そして絶対に手を出さないことを教えることが一番なのではないでしょうか。

マイナス金利で住宅ローン金利はどこまで下げ続けられるか

日銀のマイナス金利政策への影響のひとつとして、住宅ローン金利のさらなる低下が期待されています。
すでに当座預金から国債へと流入しており、国債の利回りはさらに低下を続けていることから、来月にも反映されるのではないかとおもわれます。
また早くもさらなるマイナス金利の拡張が噂されており、そうなればいっそうの低下も予想されます。

ただしばらくは住宅ローンの金利はさらに下げ続けるとおもわれるのですが、その後は必ずしも予想通りにはいかない可能性は高いのではないでしょうか。

http://www.flickr.com/photos/76767201@N00/3954240271

photo by jtyerse

住宅ローンの利益率と優良な借り手の絶対数

ひとつには、今でも住宅ローン金利は、マイナス金利以前からすでに非常に低い金利であり、さらに進行中であるという点です。
金融機関にとっては、住宅ローンが美味しい商品ではなくなっているという嘆きが、昨年から聞かれ始めています。
当然、住宅ローンを貸し出すのにも、様々な費用がかかります。与信から毎月の管理まで、タダというわけにはいきません。
これ以上の低金利競争は、ますます収益に影響が出るだけで、体力のない金融機関には厳しい状況になるばかりです。

もうひとつは与信の問題です。
住宅ローンと書いていますが、他の融資にも当てはまることですが、どれだけ当座からお金をまわしたくても、銀行がお金を貸したくなるような優良顧客が増えなければなりません。
だからといって審査基準を下げれば下げるほど、貸し倒れが増えてしまうという矛盾があります。
借りたい人は今でもたくさんいるとおもいます。一方で銀行が頭を下げてでも貸したい人がどのくらいいるでしょうか。
薄利だから多売をするというわけにはいきません。

銀行は晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる、と皮肉られる商売でもあり、雨が降っているときに、傘の本数を増やしたところで、なかなか貸出が増えないですし、貸しても還ってこない傘が増えてしまいます。

低金利競争の収益悪化はいずれ消費者に転嫁される

住宅ローンでは不動産を担保に取るとはいえ、支払えなくなった場合は債務超過になることの方が多いでしょうから、リスクが増大する割に、利益率が下がってしまいます。
結局、損失を被れば、どこかでその分を埋めなければなりません。
とはいえ、国内の設備投資は鈍いですし、かといって海外に投資というのも口で言うほど簡単なことではありません。

一部の銀行からは口座に手数料をという話も出ていますし、そうでなくとも、その他金融機関のサービスが悪化するのは避けられないでしょう。
住宅ローンも例外ではなく、表面金利は下がれども、各種手数料などで実質金利は上がる場合もあるでしょうし、体力のない金融機関は競争から脱落していくことも考えられます。

2016年2月の住宅ローン金利 10年固定は過去最低水準に

おもわぬマイナス金利導入騒動で大きな動揺がでていますが、ひとまず住宅ローン金利への影響が出てくるのは春頃からではないかとおもわれます。
それでも指標となる10年固定型の2月の金利は、大手5行のうち、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行で0.05%引き下げられました。
元々、先月から低かったみずほ銀行のみ、据え置きとなっています。
また全期間固定型のフラット35では、返済期間20年以下融資率9割以下の最低金利は、先月より0.06%下がり1.21%となっています。
 
ここ6ヶ月の10年固定最優遇金利の推移
 9月10月11月12月1月2月
三菱東京UFJ 1.20% 1.25% 1.10% 1.10% 1.10% 1.05%
三井住友 1.20% 1.25% 1.10% 1.10% 1.10% 1.05%
みずほ 1.20% 1.20% 1.20% 1.20% 1.05% 1.05%
りそな 1.15% 1.15% 1.10% 1.10% 1.10% 1.05%
(参考:フラット35) 1.31% 1.32% 1.28% 1.28% 1.27% 1.21%
 

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マイナス金利の導入で今後、さらに下がる可能性はありますが、必ずしも予想通りにはいかないかもしれません。
金融機関側としても、現在すでに低金利がきわまっており、利益がほとんど出ず住宅ローンという商品は旨味が無くむしろリスクを考えると苦しいという事情があります。
さらにマイナス金利はこれまで日銀の当座口座で利益を上げていた金融機関にとって死活問題になりかねません。
当初は競争が激化するでしょうが、この状況が続くと、大手ですら状況によっては耐えきれずに脱落するところが出てくるかもしれないという懸念もあります。貸し倒れが増える危険性もありますし、トータルでは借り手にとってもあまり手放しでは喜べない状況になる可能性もあるのではないかと心配しています。