住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

名古屋駅周辺の冠水被害と歴史

不動産を購入するにしろ賃貸にしろ、現地の下調べは必須です。特に災害に遭いやすい場所かどうかをチェックすることは、欠かさずにしておくべきです。

ここ数年、豪雨による被害が全国で相次いでいることもあり、物件の海抜や、水による被害が過去にどのような形であったかということに気を配る人は少なくないでしょう。

http://www.flickr.com/photos/35483578@N03/5492638210

photo by United Nations Photo

 

名古屋の西は古代から水害の多い土地

先日の市営地下鉄の冠水や、世界の水没の危険性のある都市20に選ばれたりと、名古屋は日本の都市ではかなり豪雨に弱い土地です。

昨年には、尾張の古地図が話題になっていました。ちょうど8月9月と連続して豪雨による大きな被害が出たことで、古代には名古屋の西が海だったとおもわせるような地図が貼られていました。

 

この古地図の詳細は名古屋の鶴舞図書館が発行している広報でも読めるので、そちらを。

尾張古図と浪越伝説

 

この古地図に関しては、図書館の広報にもあるようにかなり昔から真偽が争われており、広報でも偽図らしいと書かれています。

それ以前に当時では有り得ない地名や、そもそも地質学の観点からして、後世につくられた偽図だと断定して構わないと思うのですが、一方で名古屋の西は河川が入り組んで水害の多い土地であることを誇張して描いているであろうことは想像に難くありません。

 

以前に、災害と地名について書いたときに、地名は時代で変わる可能性があると書いたのですが、名古屋周辺の地名は史料にも頻繁に登場しており、河川の周辺であったことに由来する地名が当時から残っています。

 

名古屋の西部は木曽三川と呼ばれる木曽川長良川揖斐川周辺に、秀吉の墨俣への築城や、信長の長島の一向一揆との戦い、 薩摩藩による治水工事などの逸話がありますし、当時尾張の中心地であった清須から東の台地に名古屋城が造られたのには、庄内川の水害を避ける意味合いがありました。

また、海岸線が名古屋の南にある熱田神宮付近にあったことも有名です。熱田から桑名へと向かう七里の渡しのうち、熱田側である宮宿の港がある場所が、現在の海岸線から堀川をかなり遡り、内陸に入った場所にあることからも当時の海岸線が偲ばれます。

 


宮宿(七里の渡し熱田側)

 

そんなわけで今でも庄内川流域から木曽三川の間は、現在も海抜が低く、海面が数メートル上昇しただけで、かなりの土地が水没してしまう状態です。

 

名古屋駅付近も決して海抜が高いとはいえず、やはり豪雨の際には危険の高い場所です。

Flood Maps 海抜5mの地図

  

水害の危険は名古屋に限らず 

もちろん水害の危険性は名古屋だけに限った話ではなく、世界の川沿いのどの都市にも共通してある問題です。 

時代物が好きな方ならご存じの方も多いでしょうが、江戸の街も湿地帯を開拓して生まれた街で、雨が降ればすぐに泥沼になるような状態でした。

多くの都市が大河の下流に位置しているのは、飲料水や農業用水の確保、そして水運の利用といったメリットを得られるのですが、洪水被害や疫病の蔓延といった副産物を生み出してもいます。

 

人間が暮らしやすい土地はそれだけ自然災害に遭う確率も高く、日本の場合、地震や台風、そして火山など、どこに住んでいても逃れることはできません。

ですのでいざというときにはどこへ逃げるのかということはしっかり確認しておいた方がいいかとおもいます。