借地人も固定資産税と都市計画税を把握しておこう +不当な地代の値上げ要求に対する実例
今も昔も地代の値上げを巡るトラブルは、不動産では定番のもめ事です。
適正な地代については、路線価や周囲の地代の平均価格から求める方法などがありますが、借地の固定資産税と都市計画税を参考にするというのもメジャーな方法です。
ですので、地代の交渉の際には、地主はもちろんのこと、借地人も借地にかかる税金を把握しておくことがよいでしょう。
固定資産税と都市計画税の調べ方ー公課証明書の交付
固定資産税と都市計画税は、地主は毎年請求が来るので嫌でも金額は把握できるでしょう。あるいは固定資産台帳を見ることもできます。
一方、借地人は管轄の市町村役場へ行き、該当の土地の公課証明書(評価証明)を交付してもらうのが、もっとも手軽な方法です。
依頼者や、その土地の借地人である証明が必要になるとおもいますので、先に管轄の市町村役場のホームページが電話で確認されることをおすすめします。
注意して欲しいのは借地の地番が複数にまたがっている場合があるという点です。
交付申請の前に、契約書などでどの地番にどれだけ借りているかを、しっかり確認をしておいてください。
公課証明は現在から10年度まで遡って交付してもらうことができます。
本当に固定資産税は上がっているのかを確認した事例
数年前に仕事上の付き合いのある方のお母様で、古くからの借地に住んでいらっしゃる方がいるのですが、地主が値上げを要求してきたという相談をされたことがあります。
話を聞くと、祖父の代から頻繁に値上げ要求がされており、応じなければ出て行けと言われ、そのたびに地代の値上げに応じていたそうです。最近は地主も代替わりして閑かだったそうですが、今回、数年ぶりに要求が来たのだけど、もうこれ以上は払えないどうしたらいいかというものでした。
当然、法的にも立ち退きをする必要はないのですが、その方は要求に応じなければ出て行かなければならないと思いこんでいました。
どうやら旦那さんが亡くなられた後、地主と不動産屋に呼び出されて土地を削られたり、家の中に上がり込まれたりという経験があり、すっかり恐怖にかられているようでした。
(後者などたとえ地主であっても警察沙汰だと思うのですが)
また値上げの根拠として地主側は、固定資産税が値上がりしたのでというものでした。
本当にそこまで税金が高くなっているのなら、値上げ要求に応じるのが道義的に正しいことです。
世間には地代よりも税金の方が高くなってしまい、困っている地主さんも少なくありません。
しかしバブル期の頃より倍以上にあがっており、その借地の立地などを考慮すると、やはり不当に高い地代に感じました。
念のため周りの別の地主から土地を借りている方たちに聞いてみると、そこの地代だけがかなり高いこともわかりました。
そこで市役所に行って、この10年の、前回の値上げ時、さらに前々回の値上げ時の公課証明の交付を受けて確認してみました。
するとこの10年、固定資産税は上がるどころかむしろ下がっているいるのです。
さらに亡くなったお父さまがご存命の頃、バブル期の頃の公課証明が見付かったことで、地主側の要求がまったく根拠のないものだとわかりました。
そこで、固定資産税が上がっておらず、言い分に応じるつもりはないと返事を手紙にしたためたところ、地主側はなにも言ってこず、この件は解決しました。