住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

シャープの事業回復はインセル型ディスプレイの量産がカギ?

シャープの主力商品であるIGZO液晶が、中国の新興スマートフォンメーカーでの採用が予想以上に好調と発表されていました。
2015年3月期の出荷計画も上ブレする可能性もと……これが昨年の秋、わずか半年ほど前の話です。
国内のライバルであるジャパンディスプレイ(JDI)の苦境を尻目に、シャープの液晶事業は順調でした。

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シャープの取引先はアップルに続いて中国新興メーカーとも

元々、シャープの液晶はアップルとのつながりが強く、それがストロングポイントの反面、iPhone依存という問題も指摘されていました。アップルの売上次第で業績が左右されることになるのです。

しかし2013年から中国の新興メーカー小米科技(Xiaomi)への提供が決まったことを皮切りに中国市場へも乗り出していきます。
世界市場ではAppleとGalaxyの2大ブランドが大きなシェアを占めていましたが、ここへきて小米をはじめとする中国の新興メーカーの台頭が起きています。シャープの展開は、アップル依存からの脱却だけでなく、こうした中国の新興メーカーの躍進がシャープの業績に関与するという形にも現れました。

一方、国内のライバルであるJDIは華為技術(Huawei)のような古いメーカーが中心であり、この時点では負け組扱いでした。

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インセル型への移行が分かれ道

ところが、今年の2月に発表された第3四半期決算で、シャープの液晶事業は一気に大幅な減収減益となったことが発表されます。
その大きな理由のひとつが液晶のタッチ機能がインセル型へと移行しているという事情でした。
インセル型はタッチ機能のセンサーをTFT液晶に組み込んだ構造で、液晶の上部に組み込んだオンセル型とともに、次世代のディスプレイとして期待されていた仕組みです。
そのインセル型低温ポリシリコン液晶LTPSディスプレイでシャープから中国市場のシェアを奪っているのが、負け組であったはずのJDIです。

インセル型は工程が簡略化できるため、トータルのコストで有利に働くという利点があります。
中国でも近年は人件費の高騰に悩まされており、コスト削減につながるインセル型の採用は大きなトレンドでした。
また透過率が高く、構造上、薄型軽量にしやすいというメリットもあります。
その反面、歩留まりが悪いという大きな問題もありましたが、最近では歩留まりの問題も解消し、むしろ上述の工程でのコストのメリットの方が上回るようになりました。

世界的な潮流としてもインセル型が主流となりつつあり、シャープはインセル型IGZOディスプレイの量産が遅れてしまったことで、こうした受注に応えることができませんでした。

もちろんそれだけでなく、JDIは社長自らが営業に廻るなど、かなり活発な営業活動をしています。
反面、シャープは社内からIGZO技術を過信したという声も出ている状態です。

JDIとの消耗戦の懸念も

シャープも遅ればせながら、この6月にもインセル型IGZOディスプレイの量産を始める予定です。
ですが会社の混乱が収まらず、液晶事業の売却検討なども二転三転している状況ですので、どうなるのかはわかりません。
さらにこれまでの経緯からシャープはあまりインセル型が得意ではないのではないかという不安もあります。

JDIにしても、必ずしもまだ経営が改善されたというわけではありませんし、主要となる中国市場でシャープと食い合いを行う可能性も高いのも懸念されます。

中国のメーカーではミッドレンジ以上での競争のために、ディスプレイやCMOSに日本製のパーツを採用することが多くなっていますが、日本メーカーにはその恩恵が届くよりもよりも日本メーカー同士の消耗戦となってしまっている面もあり、人気がイコール収益に結びつくわけではないのが難しいところです。