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住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

「所得隠し」と「申告漏れ」 脱税と見解の違いのお話

この記事は4月中に9割方書き上げていたのですが、なんとなく直後にアップするにはどうかなとおもい、1ヶ月以上寝かせておいたものです。
原作の方は未読ですが、少し前まで夕食時に家族でログ・ホライズンをみていました(といっても録画なのですが)

でしたので、作者の橙乃ままれさんが脱税容疑で容疑で告発されたニュースにはかなり驚きました。しかも、出されている作品から、金銭にはシビアでしっかりしているイメージがあったので、無申告だという話には二重の衝撃でした。 

今回、気になるのは、申告漏れではなく所得隠しである点です。

http://www.flickr.com/photos/86530412@N02/8194658323

photo by StockMonkeys.com

よく聞くのは申告漏れ

一般的に申告漏れと言われるのは、単純に税金の申告というものを知らない、あるいは売上の計上ミスといった、意図的でない場合を差します。

当然のことながら日々の業務で、計算ミスや売上の計上を落としていたということはどうしても出てくるのは仕方がありません。経営の規模が大きくなれば尚更です。 

また、義務教育で納税の義務は学習するはずなので、税金の申告を知らないということなどあるはずがないと考えてしまいますが、日本は基本的にサラリーマン社会であり、源泉徴収がメインの生活です。ですので、一般的な会社勤めの家に産まれて育ち、本人や家族も特に申告をしたことがない人だと、思いがけない収入があったり、軽い気持ちで始めたビジネスが当たってしまったときなど、税金の申告そのものに思い当たらないことはそうめずらしくありません。

そしてよくニュースでも出てくる、見解の違いというのもあります。
連結会社があったり、売買以外の取引があるような大規模な会社になれば、税務処理は煩雑です。そのときそのときの処理の方法は専門家でも異なるため、場合によっては税務署側が認めないこともあります。
昨年はこんな事件もありました。

www.nikkei.com

自営業レベルの小さな会社やフリーランスなどではあまりこのレベルの税務はあまり関係ありません。
よく問題になるのは交際費関連でしょう。
業務に使用した費用を損金に算入できるのかどうかという判断は、納税者側と税務署側で異なる見解を持つことが多くなりがちです。

納税者が納得できない場合は最終的に法廷で争われます。
この見解が別れて裁判となった件では、最近の有名な判例としては、外れ馬券は経費に当たるか否か、というものがあります。
検察(と国税)側は当たり馬券の購入費のみ経費とし、被告側は外れた馬券も経費に含められるべき、として争っていました。
結果、被告側の主張が最高裁で認められるわけですが、この外れ馬券を巡る裁判では、男性の馬券の買い方から雑所得として認められたこともあり、別の状況では、認められなかったという判例もありました。

※ただし件の方は、経費として認められても支払ができない税額のため、申告自体をしてないため、所得隠しとして執行猶予付きの判決を受けています。

悪質な所得隠しは告発されることも

それに対して所得隠しは、税金が発生することを知りながら、逃れる意図を持っていた場合です。
わざと収入の一部や全部を申告しなかったり、明細を破棄したり、領収書を偽造して経費を水増しするような行為のことです。

所得税法違反、あるいは法人税法違反の罪に問われることになりますが、所得隠しが発覚したからといって、すぐに刑事告発されることはそう多くはありません。
意図的であることを立証しなければなりませんので、署員が所得隠しだろうなと感じても、金額が少なければ修正申告と追徴課税で済ませることの方が多いでしょう。

告発される目安は、以前は3年で1億円以上の脱税額がひとつの目安という言われ方をしていました。しかし最近ではそれより少ない額でも、悪質だと判断されると告発される事例が増えています。
今回の橙乃さんも3年間の金額が3千万円という金額で告発されたのは、悪質性が高いと判断されたのだとおもわれます。
橙乃さんの作品から、税の申告義務を知らなかったとは考えにくいですし、自身の著作権管理の法人を設立をしていていながら税理士すらつけていなかった、という状況が原因なのでしょう。

起訴か不起訴かは告発を受けた検察が決めます。
共犯者の場合は不起訴となることも多いのですが、これまでのところ主犯はほぼすべて起訴されています。

裁判の結果も、これまでほぼ有罪で、無罪となった例は数えるほどしかありません。
結局のところ、基本的に確実な証拠が揃えなければ告発されずに修正申告で済まされるため、クレディ・スイス証券事件のような、本来、責任がないはずの人間がターゲットとなってしまった場合以外は被告には分の悪い裁判です。 

ただ今回は脱税額、すでに橙乃さんは認めて修正申告し納税済み、初犯ということなどから、執行猶予付きの判決で済むのではないでしょうか。

高額の税金でたいへんになりそうなら早めに対策を 

所得隠しのような行為は絶対にやめるべきです。
告発されることになれば、罰金刑以上の罪に問われる可能性はきわめて高いですし、前科がつくことにもなります。
なにより社会的な信用を失うことになります。

申告漏れとは異なり、所得隠し(脱税)は決して軽いものではありません。
所得隠しに労力を注ぎ込むのでしたら、経費の計上漏れをひとつでも多く防いだり、所得控除の対象になるものを調べたりすることに時間を費やすべきです。

まだ六月ですし、これから利益が多く出そうだと予想された場合には、少しでも早く税理士と相談するなどの対策を考えることをオススメします。