読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

終わらないギリシャ債務とユーロが抱える構造上の問題

ここ最近はギリシャのデフォルト問題で市場がすっかり揺れている状態です。
日本では直接的な影響が少ないとおもわれているため、国民投票や輪転機を壊した発言、公共料金の突如無料化などのため、揶揄したり罵倒するなどおもしろおかしく取り上げているところもあります。

ギリシャが混乱しているのは、ここでユーロ圏にとどまるべく要求を受け入れたとしても、その先は難しいのではないかという予測が根底にあるからです。

たしかにギリシャの経済がぼろぼろなのは、元を正せば、ギリシャ社会の問題と、ユーロに加盟する際、粉飾を行っていたことが原因です。
そんなギリシャとはいえ、それでも欧州でギリシャに同情論があるのは、支援策そのものとユーロが抱える構造上の問題があります。

http://www.flickr.com/photos/70323761@N00/135115501

photo by wallyg

デフレ不況に陥っているギリシャ 

今回も支援受け入れ条件として、債権団がさらなる緊縮財政を求められています。
ですがこれまでの支援の際に行ってきた財政緊縮策のために、深刻なデフレ不況に陥っており、これ以上の要求を飲めば、再建どころか社会が崩壊する危険性もあります。 

元々、ギリシャは産業が乏しい国です。
多くの人がイメージするように、まず観光、そして海運、あと農業が中心です。
それでいて、すでに電気ガス水道や空港港湾など、国内の重要なインフラがドイツをはじめとする外資に握られてしまっています。
高い失業率の原因の一端がそこにあります。
社会保障費が高く公務員が多いのは、むしろそれでなんとか社会が保たれている状態で、そこを削減すれば逆に崩壊してしまうおそれが強いため、おいそれと要求を飲めない有様です。 

ドイツが勝ち続けられるユーロ構造 

それとともにユーロ圏で大きな影響力を持つドイツに対する各国の反発もあります。
ユーロ経済でのドイツは工業大国であり、今は一強といってもいいほど強い力を持っています。
これまでドイツは社会保障費を削減するなど、身を切る改革を行ってきました。
それでいて、景気が回復するまで企業がスキルのある労働者を解雇しなかったこともあり、それが製品の品質を保ち、現在の貿易収支の大幅黒字へとつながっています。

(もちろんそのしわ寄せは非正規雇用者などに行き、それはそれで別の問題を引き起こしているのですが、それは別の話として) 

ともあれ、ユーロ圏でドイツの競争力はきわめて強く、そしてユーロ圏への輸出や投資が貿易黒字を支えています。 

経済動向 | ドイツ - 欧州 - 国・地域別に見る - ジェトロ


これがユーロ導入以前ならば、市場の作用で、輸出大国であるドイツのマルクの価値が高くなり、貿易黒字は圧縮されます。戦後の日本の円と同じ構図です。
しかし同じユーロ圏に輸出する以上、いくら片貿易になろうが、通貨高に悩まされる心配はありません。 

そしてユーロ圏では各国が独自に経済政策をすることが不可能です。たとえば日本が行っているような金融緩和政策を各国が独自でとることはできません。 

経済的に弱い国は、ユーロにより通貨の安定性が保たれる代わりに、自国の富が吸い上げられるのに対して、なかなか有効な手段がとれない状態です。 

新たな条件を引き出せるか 

本来、ドイツにとってユーロから経済弱小国が離脱するのは好ましくないはずではあるのですが、債権団に大きな影響力のあるドイツは態度を軟化していません。

第一次大戦後にインフレに見舞われナチスの台頭を起こしたドイツにとっては、デフレよりもインフレに対する恐怖が根強く残っている上に、債務を悪とし、倹約を尊ぶ国民性がギリシャに対する反感を呼んでいるという指摘もあります。

また、ここ数年のギリシャ経済の悪化でドイツ企業のギリシャでの売り上げが減少しており、そのためユーロから離脱しても構わないという風潮が生じていることもあります。

国民投票の結果で、ユーロから離脱すればギリシャは通貨の安定性を失うことになります。
かといって現在出されている条件を飲みこのままユーロに留まっても、ますます経済が悪化するという矛盾があります。

ギリシャだけでなく、イタリアやスペインを始めとするユーロ圏のヨーロッパ南部の諸国も多かれ少なかれ同じような問題を抱えています。
ロシアや中国がこうした間隙に食い込もうとしていることもあり、ギリシャの動向は今後のユーロ圏のあり方にも影響がありそうです。