人口の分散と自動運転システム
Googleのドライバーレスカーをはじめとして、自動運転システムは注目されている技術のひとつです。
先日の池袋の事件でも感じたのですが、不注意や暴走車がらみの事故も少なくないこともありますので、個人的にも普及を待ち望む技術です。
この自動運転システムと、それにともなう新しい交通環境は、単なる交通問題だけでなく、過疎問題にも効果があると期待されます。
高齢者を中心地に集めるのは難しい
高齢者ほど中心地に住むべき、という意見をよく耳にします。
実際、年を重ねると移動自体がかなりの負担になりますので、徒歩圏内に生活や医療の施設が整っている場所に住む方が楽で安全ですし、自治体側にしてみてもコストの削減につながります。
ですが現実にはそう簡単にはいきません。
高齢者でなくても、住居環境を変えるのはかなり負担がかかります。
なにより生活環境がまったく変わってしまうので、精神的にも厳しいものがあるでしょう。
それに街の中心地に高齢者を移したところで、必ずしも解決になるどころか、より問題を深刻化させる可能性もあります。
それこそ例の新国立競技場がらみで取り壊しでもめている新宿の都営霞ヶ丘アパートは、立地からすればまさに中心地も中心地なのですが、限界集落と化しています。
高齢者にとって、住宅や環境の維持管理もたいへんな上に、行動範囲も非常に狭くなりますので、中心地に住むことではなかなか解決されないばかりか、むしろその地域の保全がなされなくなってくる可能性もあります。
ここからはまた前に書いたことの繰り返しになりますが....
そもそも人口を集中させるのは必ずしもメリットばかりではなく、それに応じたデメリットもあります。
これから人口が減少していくとはいえ、安易に人口を集中させると、問題も多発していきます。
インフラ面ではコストが削減されるかもしれませんが、日常では生活環境の悪化をはじめ、防災面でのリスクはより増加します。
近代の大都市である江戸やロンドンでは住宅の密集地での火災被害が尋常ではありませんでした。
もちろん建築物をすべて耐火性の高い建物にしてしまえばいいのでしょうが、現実には難しいでしょう。
逆に人が住まなくなった地域が増大することは国土保全の面からも好ましくありませんし、他地域への環境に影響を与える危険性もじゅうぶんにあります。
個人的には、今の首都圏の度を超えた集中を解消し、地方へと分散させなければならないとおもいますし、高齢者の強引な中心地への移住は避けるべきだと考えます。
そのひとつの解決策として自動運転やそれを前提にした新しい交通システムを早い段階から模索するべきでしょう。
もっともすでに国交省も、高齢者の移動手段としての自動運転を意識しているようです。
もちろん高齢者だけでなく、若い世帯にも、たとえば小さなお子さんがいらっしゃる家庭などでは、外出が楽になるのではないかとおもいます。
また学生が遠方の学校に通いやすくなるなど、交通システム次第ではあるのですが、様々なメリットが想像できます。