住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

黒田総裁は自身の言葉を軽く考えすぎていないだろうか

最近はあまり更新する時間のないまま気がつけば今年も押し迫って参りました。

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photo by kuraoji

この12月18日の日銀の金融政策決定会合で、緩和の継続と3000億円のETF買い増しなどの強化策が発表されました。
日にちも経って、問題点などはすでにあちらこちらで書かれているので、黒田総裁の発言の問題について、感じていることを。

サプライズというよりだまし討ち

昨年の追加緩和のときもでしたが、今回も唐突な発表でした。
先月の段階でインフレ目標2%の達成が明らかに厳しくなった状況でも、まったく動く気配が無く、総裁の講演などでもむしろ当面の追加緩和を否定するような様相でした。
そのため12月には動きはなく、追加緩和は早くても1月以降というのが大方の見方でもありました。
そんな流れのなかでの今回の発表です。
これで昨年9月に続いてのサプライズ発表は2度目ということになります。 
アメリカのFRBではイエレン議長が利上げに向けて、毎回のFOMCで何ヶ月もそれどころか1年をかけて言葉を尽くしに尽くして流れを作り出していきました。
もちろん引き締めと緩和では逆方向の方針ですので、そこまで気を遣う必要はないかとおもいますが、それにしても不誠実さはいなめません。
むしろサプライズというよりは、だまし討ちという表現が似合います。

インフレターゲットの目的は軽いこと?

黒田さんは追加緩和ではなく補完措置と強調していましたが、仮に黒田さんが言われるように、追加緩和ではないとしても、これまでの、戦力の逐次投入はしないと繰り返している内容に背きます。
そもそも今の異次元緩和の目的は2%のインフレターゲットです。

2013年4月に、日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入しました。

昨年の追加緩和の理由にも、消費増税と原油価格下落の影響による短期的な物価押し下げ圧力をあげていました。
この方針が言い悪いは別にして、今回のが追加緩和ではないとなると、2%の達成が難しくても、日銀は追加緩和は本当にしないことになってしまいます。

中央銀行トップの言葉の重み

斜陽とはいえまだまだ日本の経済力は世界でも有数のものがあり、その国の中央銀行の総裁の言葉は本来はとても重いものです。
しかしこれまでの経緯で、日銀の意図がわからず、いったい今回の目的はなんであったのか、今後の追加緩和のあるなしはもう黒田総裁の言葉は参考にならないと疑心暗鬼になっている人も少なくありません。 
今回のショックは一時的なもので終わるとはおもいますが、日銀総裁の言葉が市場で信頼されなくなれば、後々、悪い影響が出てきますし、もう少し慎重な態度を望みたいところです。