日本企業による不動産投資の売り込みと、東京オリンピック後の市場予想
先日、首都圏の不動産に流入する海外マネーの記事をアップしましたが、そのなかで台湾からの投資についてのニュースを取り上げました。
今回は日本の不動産会社からの視点での記事になります。
東急、大京が香港で売り込み 東京買い過熱の不動産投資|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
同じ台湾の投資家相手でも、ずいぶんと温度差の異なる内容です。
台湾の信義房屋不動産という仲介業者の話では、投資家が物件の吟味をするようになり、トータルでの成約価格は2013年より減ったというものでした。
しかし、こちらの記事では売り込みをかけるのが日本の大手不動産会社とあって、よい物件を抑えているのでしょう。年明けからフル稼働の状態だそうです。
反面、東京オリンピック前に日本の不動産市場への資金が引き揚げられるのではないかという心配の声も、最後に少しだけ掲載されています。
オリンピック景気は、たいてい大会前年がピークとなってしまい、大会以降成長率は鈍化することがほとんどです。
近年でもほとんどのオリンピックの開催国が同じような状況に陥っていますし、負債に苦しんでいるところもあります。
しかし例外もあります。
ロンドンオリンピックでは特需効果があまり感じられなかったといいます。不動産市場でも、オリンピックの影響はほとんどなかったという事後評価レポートがイギリス政府から出されていました。
たしかに賃貸バブルのような家賃相場の高騰はあったものの、金融危機後のサイクルであり、地価の上昇も会場周辺より別の地域で起こりました。
そしてロンドンの不動産市場はその後も大きく落ち込むことなく、昨年には海外からの資金逃避も相まってバブルの様相を呈しているというニュースはなんども目にしました。
アングル:新興国富裕層の逃避資金、ロンドン不動産市場に殺到か | Reuters
ロンドンが他の都市と違った点として、経済が成熟した先進国の首都であったことがあげられます。
それは2020年の東京オリンピックでも、同じことかもしれません。
オリンピック効果が謳われますが、首都圏の不動産市場の活性化は円安や世界的な金融緩和と不安定な中国市場がマネーの流入の大きな要因であり、オリンピックはあくまでも口実で、直接的な関係はなさそうです。
ここ数年の内に現在の不動産市場が打撃を受けるとすると、日銀の金融緩和の終了か世界規模の金融危機というのが可能性の高い要因ではないでしょうか。
とはいえ、口実は口実として立派に作用することがあります。
2017年には2024年の開催都市が決まりますので、場合によっては東京へ向かっていたマネーがそちらの開催都市へと流出する可能性もじゅうぶんに考えられることです。