サブリース前提のアパート経営の話に乗ってはいけない
先日放送されたクローズアップ現代の内容が大きな話題を呼んでいます。
私もこの手の営業をかけられて迷惑をしていたことがありましたので、他人事ではありません。
代わる代わる不動産業者が訪れて、アパート経営をしませんか、という営業をかけてくるのです。
もちろんすべて断りましたが、あの手この手、口八丁手八丁という感じで、高齢者の方とか騙されるのは無理もないのではないかとおもいました。
とにもかくにも、
わからないものに手を出してはいけない
美味しい話は向こうから簡単にやってこない
これは、投資にしろ、ビジネスにしろ、大原則です。
サブリース前提のアパート経営はするべきではない
サブリースを前提にしなければならないという時点で、そのような場所でアパートを建てる話に乗るべきではありません。
一括借り上げで家賃保証と聞くと、空き室が出たときに業者側が損失を被ってくれるので安心というイメージがあります。
ですが当然のことながら、営利目的で事業を行っている業者が、自らが損をするようなサービスを提供するなどあり得ません。
当然、業者側としても考えていて、たいていのサブリースは、数年ごとに契約の更新を行いますが、その際に家賃補償額を引き下げてきます。
これを飲まなければ、サブリースの契約は解除されます。
サブリースといっても業者側は借主にあたるため、定期借地権契約でなければ、契約書があっても貸主側の大家側は著しく不利になります。
物件は当然に年月が経てば経つほど人気がなくなります。
しかしその分、空き室の補填はできないのですから、年を追う毎に家賃の補償額が減ってしまうのは苦しくなるでしょう。
他にも、建物の建築費を抑えたり、家賃保証の免責期間があったりと、大家側には不利なことが少なくありません。
それこそ業者が家賃や敷金を大家側に渡す前に倒産した日にはたいへんなことになります。
相続対策でアパート経営は本当に得なのか?
こうしたサブリースでの被害が多くなっている背景のひとつとして、相続税が上がることに夜対策があるとおもわれます。
しかし、あまり深く考えずにアパート経営に乗り出せば、相続税以上の損失を被ることもあるでしょう。
アパートを建てる予定の土地で、現在の需要はどうなのか、10年後でも需要はあるのか、維持管理をしていく予算は、などを考慮すると、おそらく現代日本の状況では一部の地域を除いてきわめて厳しい状況にあるのは言うまでもありません。
業者が本当に有望だと考えているのでしたら、他人にアパートを建てさせることはありません。
自社で土地を購入してアパートを建て経営する方が利益率は良いのは自明の理ですから、土地を売ってくれと持ちかけてくるでしょう。
多額の金銭を支払わなければならない話には、たとえ一見有利に見えても、一切耳を貸さないことが重要です。
被害者に落ち度はあっても騙す方が悪い
今回というか今回も気になったのが、被害者を責め立てる論調が少なくない点です。
もちろん被害者側にも落ち度はあるでしょうが、わざと誤認させて契約を取るような営業が問題です。
特にクローズアップ現代で例に出されていたようなサブリース契約の場合もそうで、実際に、業者が持ってきたパンフレットで、重要な項目を非常に小さい字で書いてあったこともあります。
これまでいろいろな営業マンや経営者という人たちと接してきましたが、悪意ある人たちのなかでも、問い詰めればすぐに底が割れるような人ばかりではありませんでした。
話術もうまく、自信に溢れ、かといって過剰にもならないような、見事な振る舞いをする人も少なくないのです。
被害者側が欲をかいたと言われますが、元々その気がない人に欲を出させるのがこうした人間の仕業であり、誰しもちょっとした隙にいつ被害に遭うかはわからないのです。その点だけは気に留めておかれる方がよいとおもいます。