有機ELを支える中国スマホメーカーの情勢
ジャパンディスプレイ(JDI)が、スマートフォン向け液晶の不振と、今後の車載向け市場への注力への話題が出ていました。
液晶ディスプレイの技術をめぐる話を以前に書いたのですが、このときは有機ELは欠点も多く廃れていく技術ではないかと勝手に考えていましたが、すでに状況はまったく変化していました。
有機ELのメリットとしては、
- 薄型化
- フレキシビリティ
- 省電力
- 視野角
などがありますが、一方でデメリットとして、
- 屋外での視認性
- 寿命の早さ(焼き付け)
- 高精細化
- 製造コスト
この点に問題を抱えています。
Super AMOLED の開発や、インターフェイスなどで、これらの欠点を解消しようとしていますが、それでも高コストの問題はいかんともしがたい状況でした。
しかし、ここへきて急激にコストが下がりつつあり、ついに液晶を下回ったという情報が出ています。
昨年から中国メーカーでの採用が次第に増えているだけでなく、近い将来のiPhoneでの採用がかなり確実視されている状況です。
急激に有機ELにシフトする中国メーカー
今やiPhoneとともに、中国のスマートフォンメーカーと消費者の動向は無視できない状況です。
その中国メーカーのスマートフィンで、ここ1年ほどSamsugnの有機ELの採用が少しずつ増加しています。
4Kスマホや最薄スマホなどの個性的な端末の多いOppoでは、やはり主力機のOppo R7シリーズで、そしてOppo R9でもAMOLEDが採用されています。
さらにカメラ機能を重視したOppo F1 Plusでも、先のモデルのF1はIPSでしたが、今回はAMOLEDになります。
Oppoとともに急成長を続けるvivoでは、RAM6GBでハイスペックのViVo Xplay 5sや、5.1ミリの超薄型スマホVIVO Air LTE、ミッドレンジのX6シリーズで採用されています。
Oppo傘下でマニアの人気が高いOnePlusでは普及版のOnePlus Xで、そして次期OnePlus3でAMOLEDが採用。
大手のHuaweiではジャパンディスプレイから液晶を調達していることは有名ですが、それでも Honor 8 はAMOLEDを、さらにGoogleから発売されているNexus 6P もAMOLEDを採用しています。
新興のメーカーとしてはXiaomiと並ぶ存在だったMeizuでは、メインのMeizu MX5とその廉価版のMeizu MX5eで、先日発表されたMeizu Pro 6でも、AMOLEDの採用が発表されています。
スマートフォンではOppoとvivoが2016年に入って急激にシェアを伸ばしており、IDCの調査では第1四半期でXiaomiやLENOVOを追い抜いている状況です。
AppleとSamusungほどのシェアはないとはいえ、この2社が積極的にAMOLEDを採用している状況で、Appleまでもが有機ELを採用となると、大手の主力モデルの大半が有機ELとなってしまいます。
ジャパンディスプレイとシャープも、2018年までにAMOLEDの量産を予定しています。今は韓国メーカーに水をあけられていますが、日本の研究機関でも次世代の有機EL技術の研究も進んでいます。
ですがこのまま有機ELがディスプレイのシェアを席巻してしまうかどうかはわかりません。
中国メーカーのシェアの変化を見ていても、1年先ですら不透明です。鴻海がシャープを買収した目的も、有機ELだけでなくIGZO技術も重要だと鴻海の会長が述べたこともあります。
IGZOもまた有機ELと同じく歩留まりでの問題を抱えていますが、その問題が解決できれば、また流れは変わる可能性はありそうです。