マイナス金利で住宅ローン金利はどこまで下げ続けられるか
日銀のマイナス金利政策への影響のひとつとして、住宅ローン金利のさらなる低下が期待されています。
すでに当座預金から国債へと流入しており、国債の利回りはさらに低下を続けていることから、来月にも反映されるのではないかとおもわれます。
また早くもさらなるマイナス金利の拡張が噂されており、そうなればいっそうの低下も予想されます。
ただしばらくは住宅ローンの金利はさらに下げ続けるとおもわれるのですが、その後は必ずしも予想通りにはいかない可能性は高いのではないでしょうか。
住宅ローンの利益率と優良な借り手の絶対数
ひとつには、今でも住宅ローン金利は、マイナス金利以前からすでに非常に低い金利であり、さらに進行中であるという点です。
金融機関にとっては、住宅ローンが美味しい商品ではなくなっているという嘆きが、昨年から聞かれ始めています。
当然、住宅ローンを貸し出すのにも、様々な費用がかかります。与信から毎月の管理まで、タダというわけにはいきません。
これ以上の低金利競争は、ますます収益に影響が出るだけで、体力のない金融機関には厳しい状況になるばかりです。
もうひとつは与信の問題です。
住宅ローンと書いていますが、他の融資にも当てはまることですが、どれだけ当座からお金をまわしたくても、銀行がお金を貸したくなるような優良顧客が増えなければなりません。
だからといって審査基準を下げれば下げるほど、貸し倒れが増えてしまうという矛盾があります。
借りたい人は今でもたくさんいるとおもいます。一方で銀行が頭を下げてでも貸したい人がどのくらいいるでしょうか。
薄利だから多売をするというわけにはいきません。
銀行は晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる、と皮肉られる商売でもあり、雨が降っているときに、傘の本数を増やしたところで、なかなか貸出が増えないですし、貸しても還ってこない傘が増えてしまいます。
低金利競争の収益悪化はいずれ消費者に転嫁される
住宅ローンでは不動産を担保に取るとはいえ、支払えなくなった場合は債務超過になることの方が多いでしょうから、リスクが増大する割に、利益率が下がってしまいます。
結局、損失を被れば、どこかでその分を埋めなければなりません。
とはいえ、国内の設備投資は鈍いですし、かといって海外に投資というのも口で言うほど簡単なことではありません。
一部の銀行からは口座に手数料をという話も出ていますし、そうでなくとも、その他金融機関のサービスが悪化するのは避けられないでしょう。
住宅ローンも例外ではなく、表面金利は下がれども、各種手数料などで実質金利は上がる場合もあるでしょうし、体力のない金融機関は競争から脱落していくことも考えられます。
2016年2月の住宅ローン金利 10年固定は過去最低水準に
それでも指標となる10年固定型の2月の金利は、大手5行のうち、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行で0.05%引き下げられました。
元々、先月から低かったみずほ銀行のみ、据え置きとなっています。
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
三菱東京UFJ | 1.20% | 1.25% | 1.10% | 1.10% | 1.10% | 1.05% |
三井住友 | 1.20% | 1.25% | 1.10% | 1.10% | 1.10% | 1.05% |
みずほ | 1.20% | 1.20% | 1.20% | 1.20% | 1.05% | 1.05% |
りそな | 1.15% | 1.15% | 1.10% | 1.10% | 1.10% | 1.05% |
(参考:フラット35) | 1.31% | 1.32% | 1.28% | 1.28% | 1.27% | 1.21% |
金融機関側としても、現在すでに低金利がきわまっており、利益がほとんど出ず住宅ローンという商品は旨味が無くむしろリスクを考えると苦しいという事情があります。
さらにマイナス金利はこれまで日銀の当座口座で利益を上げていた金融機関にとって死活問題になりかねません。
当初は競争が激化するでしょうが、この状況が続くと、大手ですら状況によっては耐えきれずに脱落するところが出てくるかもしれないという懸念もあります。貸し倒れが増える危険性もありますし、トータルでは借り手にとってもあまり手放しでは喜べない状況になる可能性もあるのではないかと心配しています。
DIYで賃貸をリフォーム関連記事の不安と、改装可能賃貸への期待
DIYでリフォーム、リノベーションというはネットの記事でも人気なのですけど、 最近はかなり見栄えのするものも増えてきました。
そのなかでも、ツーバイ材を使うディアウォールは、キャットウォークをつくる記事をはじめ、よく話題になります。
ですが賃貸で後付のディアウォールは経験上あまりおすすめしません。
RCならばともかく、木造などの古い物件はなおさらです。
そこに薄型とはいえテレビなどの重量物を乗せるのはかなり危険性が伴います。
ディアウォールのテンションのゆるみと天井への負荷
建物は頑丈にみえても年月で結構ゆがみが生じていきます。
地盤が脆弱だったり、建物自体があまり堅牢でない場合や古い場合は、特に年月で少しずつゆがんでしまいます。
2年3年の間に知らないうちにテンションがゆるんでしまうことはよくあります。
また床と天井ではその強度がかなり異なります。
重量物を乗せることを想定している床と比べて、天井はそうしたことは考えられていません。
いわゆる突っ張り棚のような壁と違い、床と天井とのテンションで支えているのは、かなりアンバランスな状態になってしまいます。
弱い天井では傷も付きやすいでしょう。
ディアウォールではありませんが、以前に床と天井とのテンションで固定した棚を使っていて、ちょくちょくテンションがゆるんでいないか確認もしていたのですが、数年後、いきなり片側が外れ崩壊したことがあります。
また古くもろい天井だったために傷が生じており、賃貸でしたら原状回復のことを考えて困るところでした。
重量物を乗せないか、乗せるなら下部に工夫を
建築時から壁面での収納を想定してつくられているのならばいいのですが、そうでないのでしたら、ディアウォールにはあまり重い物を乗せない方が安心です。
できれば最下部の棚を4脚にするなどの工夫をするとか、せめて脚の部分をL字型にするようにしないと、危険な状況になりかねません。
古い賃貸をDIYでリフォームする記事では見た目にはとてもいいのですし、実際に引越で原状回復した写真なども掲載されているのですが、安全性に気を配っているところはあまりないようにおもいます。
本当は安全性が一番大切なのではないかとおもいますが....
DIYでリフォーム前提なら改装可能賃貸
賃貸の良さのひとつに、いざというときに身軽に引っ越しできるというものがあります。
転職、転勤、隣人トラブル、環境悪化等々、生活を送る上で引越を迫られたり、引っ越ししたくなることは少なくありません。
そこで賃貸のよさがあるのですが、大がかりなDIYで部屋のリフォームをすると、原状回復のときに大量のゴミが出てしまうという問題があります。
ディアウォールのような部屋のサイズや設備にあわせたDIYは、次の引っ越し先で使用できるかどうかわかりません。人気の貼って剥がせるシートも弱粘着性とはいえ、ある程度の期間が過ぎると、剥がす際に破れてしまうことが多くなります。
それにやはり傷がつくことはよほどうまくやらないと避けられません。
原状回復で問題なしという記事でも、期間が短かったり、運がよかったという面も強いとおもいますので、あまり過信しすぎるのは禁物です。
大がかりなDIYで部屋を自分好みにリフォームしたい人は、 やはり改装可能な賃貸(カスタマイズ賃貸、DIY賃貸)を選ぶか、思い切って古い物件を購入する方がよいのではないでしょうか。
こういった改装可能賃貸の情報も増えています。
まだまだこの手の改装可能賃貸は関東圏が中心ですが、全国的にもっと増えてきてもよいのではないかと期待しています。
2016年1月、年明けの住宅ローン金利は変動と長期で史上最低を更新
年も変わり、2016年1月の各金融機関の住宅ローン金利は過去最低を更新しています。
今回の目玉(?)は変動金利の引き下げです。
最優遇金利は、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は0.15%引き下げて、0.625%に、三井住友信託銀行は1月15日より0.6%となります。
ただし大手行ではりそな銀行だけは据え置きとなっています。
住宅ローン金利のニュースでよく取り上げられる固定期間10年の金利は、みずほが0.15%引き下げた以外は先月と変わりませんが、長期金利の低下のため、20年、30年の長期の金利が引き下げられています。
全期間固定金利のフラット35も、返済期間20年以下融資率9割以下の最低金利が0.01%下がり、1.27%となっています。
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | |
---|---|---|---|---|---|
三菱東京UFJ | 1.20% | 1.25% | 1.10% | 1.10% | 1.10% |
三井住友 | 1.20% | 1.25% | 1.10% | 1.10% | 1.10% |
みずほ | 1.20% | 1.20% | 1.20% | 1.20% | 1.05% |
りそな | 1.15% | 1.15% | 1.10% | 1.10% | 1.10% |
(参考:フラット35) | 1.31% | 1.32% | 1.28% | 1.28% | 1.27% |
ここ1年の新発日本国債10年利回りの推移
黒田総裁は自身の言葉を軽く考えすぎていないだろうか
最近はあまり更新する時間のないまま気がつけば今年も押し迫って参りました。
この12月18日の日銀の金融政策決定会合で、緩和の継続と3000億円のETF買い増しなどの強化策が発表されました。
日にちも経って、問題点などはすでにあちらこちらで書かれているので、黒田総裁の発言の問題について、感じていることを。
サプライズというよりだまし討ち
昨年の追加緩和のときもでしたが、今回も唐突な発表でした。
先月の段階でインフレ目標2%の達成が明らかに厳しくなった状況でも、まったく動く気配が無く、総裁の講演などでもむしろ当面の追加緩和を否定するような様相でした。
そのため12月には動きはなく、追加緩和は早くても1月以降というのが大方の見方でもありました。
そんな流れのなかでの今回の発表です。
これで昨年9月に続いてのサプライズ発表は2度目ということになります。
アメリカのFRBではイエレン議長が利上げに向けて、毎回のFOMCで何ヶ月もそれどころか1年をかけて言葉を尽くしに尽くして流れを作り出していきました。
もちろん引き締めと緩和では逆方向の方針ですので、そこまで気を遣う必要はないかとおもいますが、それにしても不誠実さはいなめません。
むしろサプライズというよりは、だまし討ちという表現が似合います。
インフレターゲットの目的は軽いこと?
黒田さんは追加緩和ではなく補完措置と強調していましたが、仮に黒田さんが言われるように、追加緩和ではないとしても、これまでの、戦力の逐次投入はしないと繰り返している内容に背きます。
そもそも今の異次元緩和の目的は2%のインフレターゲットです。
2013年4月に、日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入しました。
昨年の追加緩和の理由にも、消費増税と原油価格下落の影響による短期的な物価押し下げ圧力をあげていました。
この方針が言い悪いは別にして、今回のが追加緩和ではないとなると、2%の達成が難しくても、日銀は追加緩和は本当にしないことになってしまいます。
中央銀行トップの言葉の重み
斜陽とはいえまだまだ日本の経済力は世界でも有数のものがあり、その国の中央銀行の総裁の言葉は本来はとても重いものです。
しかしこれまでの経緯で、日銀の意図がわからず、いったい今回の目的はなんであったのか、今後の追加緩和のあるなしはもう黒田総裁の言葉は参考にならないと疑心暗鬼になっている人も少なくありません。
今回のショックは一時的なもので終わるとはおもいますが、日銀総裁の言葉が市場で信頼されなくなれば、後々、悪い影響が出てきますし、もう少し慎重な態度を望みたいところです。