ファイナンシャルプランナーが固定金利をすすめる理由と、変動金利を選ぶべき場合
以前に書いた記事とかぶってしまうところも多いですが、住宅ローンの固定金利と変動金利についての話になります。
住宅ローンの金利を巡っては、変動金利は危険すぎてとんでもないとか、逆に固定金利をすすめるFPは不勉強だ、という言説が飛び交っています。
そしてファイナンシャルプランナーは固定金利をすすめる人が多いです。これは不勉強ではなく職業的な理由があります。
私も今でしたら特に理由がなければ固定金利をすすめます。
変動金利派の言い分は正しい、だが....
変動金利が固定金利よりも有利だとする言い分は概ね次の通りです。
- 今後金利が急激に上昇する可能性が低い、そもそも上昇させられない
- 仮に上昇したとしても長くは続かないだろうということ
変動金利派のこの言い分はまったく正しいとおもいます。
それでいてどうして固定金利をすすめるのかといえば以下の通りになります。
まず以前にも書いたとおり、未来はだれにもわからない、特に長期スパンでは予測がまったくアテにならないことが多い点です。
常識で考えれば、現在の状況からして、当面は金利は上がらないし上げようがないはずです。
しかし歴史上、10年後20年後がどのような世界になっているかはまったく見当がつきません。経済政策は必ずしも合理的な判断でなされるわけでもなく、内閣支持率等、そのときの経済以外の事情にも左右されます。
また経済状況も、技術革新、環境の変化、人口、地政学的要因など様々な要因で大きく変化してしまうことになります。
また金利が上昇したとしてそんなに何年も上昇したままということは考えにくいのも同感です。
ただ期間は短くとも金利が高くなった時期が、子供の進学等で支出が増える時期と重なると、家計に著しい負担がかかる可能性があります。
FPが固定金利をすすめるのは別に不勉強というわけではなく、FPの重要な仕事のひとつがライフプランの作成であるからです。
固定金利にして支出を確定させることで、ライフプランを立てやすくするというメリットは測りしれません。
変動金利を選ぶべき場合
とはいえ積極的に固定金利を選ぶ必要のない方もいます。
たとえば収入に対し返済額にかなりゆとりをもっている方なら少々の金利上昇など問題ありません。収入だけでなく、すぐに返済できるだけの資産がある方は、あるいは、別の資産を売却するなどで繰上返済してしまうことができるのでしたら、利率が低い変動金利の方がメリットがあるでしょう。
また、その物件をずっと所有する必要のない方で、人気の駅近くなどのすぐに売却しやすい条件の物件の場合もそうです。
いつでも帰れる実家があるのでしたら、仮に返済が難しくなるほど金利が上昇したならば、売却してしまうという手段があります。
そして変動から固定へいつでも変更ができ、手数料が無料かほとんどかからず、あまりデメリット無く固定金利に変更できる方でしたら、まず変動を選ぶ方がよいかとおもいます。
大まかに言えば、返済が楽な人ほど変動金利を選ぶメリットがあり、そうでない、あるいは将来の計画をしっかり立てたいのなら、固定金利をというのが私の考えです。