住宅ローンと不動産のニュースをまとめない

住宅ローン、不動産についての気になったニュースや話題をまとめるつもりでしたが、まとめられずに。

業績好調の新築そっくりさんのネット上での評判がよくない理由

bizmakoto.jp

新築の半額をキャッチコピーに、古くなった住宅をリフォームでまさに新築のようにするという住友不動産の「新築そっくりさん」が、年商1000億円の商品に成長しているそうです。 

リフォーム自体はいいのですが、個人的にはこの商品は微妙、というか、あまり得ではないかなと思っています。
SUUMOに施工例が掲載されているのですが、たしかに新築よりはやすいかもしれませんが、半額ではないですよね。
この金額なら地元の工務店や業者に直接頼んだ方が安いのではないでしょうか。 

http://www.flickr.com/photos/66526224@N02/7706518320

photo by ArmchairBuilder.com

ネット上では厳しい評価も多い

この新築そっくりさんについて、ネット上ではあまり評判は芳しくない、というよりよくありません。それも相当に厳しい意見が並びます。

工事の内容、期間、対応などなど、利用者としてかなり不満が書かれています。
もっとも芳しくない評判が多いとはいえ、累計受注数9万戸の割には少ないかもしれません。
これは満足している人はそもそもネット上に感想をあまり書かないわけで、割り引いて考えないといけないでしょう。 
ただし逆に、新築そっくりさんに依頼する人は、他社との見積もり比較をしていないことが多いようで、その点も考慮する必要はありそうです。

中間マージンの問題

不満が多いのは事業形態に大きな原因がありそうです。
当然のことながら工事自体は住友不動産がするのではなく、地元の業者への委託なので、その業者次第という面があります。
先にも書いたように、当然、利益を出さなければなりませんから、CMや営業の費用まで地元の工務店に直接頼むよりも余分にマージンがかかるという、大手HMが抱える問題です。
その反面、価格は抑えなければならないので、どうしても工事内容や材質にしわ寄せがくるのは仕方のない話です。

連絡が取れなくなる

また、会社として営業のノルマがきつく社員が新規の契約に忙殺されてしまうため、契約後に連絡がとれなくなってしまうケースが多いようです。
この不満がネット上でもかなりみられます。
契約が取れればあとは連絡不通なんて、まるで夜の商売の方のようですが、フォローがなくなることで不満が直接に会社に行かず、ネット上で溢れ出すという悪循環です。 

リフォームの難しい建物が多いのか

そして最後に、このサービスの性質上、接道や建ぺい率などの現在の法律では新築ができない土地の家屋が対象になることが多くなることも原因にありそうです。
たとえば昭和25年の建築基準法以前の建物ですと、基礎から新築した方がよいものもあり、そうした物件は工事は扱いが難しくなるでしょう。

需要は今後も増加する

国が中古住宅市場の活性化に向けて動いていますので、今後、大規模なリフォーム・リノベーションの需要はさらに増えるとおもわれます。

ただ新築そっくりさんは、構造的にどうしてもコストパフォーマンスや営業のアフターサポートには弱くなります。
ですので、もし評判のよい地元の工務店があればそちらに直接依頼する方がよいのではないでしょうか。

 

最近話題の不動産仲介のワードとITベンチャーへの開放の良否

首都圏を中心とした不動産の好調の反面、仲介業に対する慣習の問題や、新しい仕組みの導入といった話もよく出てくるようになりました。
ここ1年でよく見かけるようになった仲介に関するワードを3つほど書き留めます。

http://www.flickr.com/photos/124247024@N07/13903385550

photo by flazingo_photos

両手取引

仲介業者が1社で、売り手と買い手の両者の代理人を務めることです。

本来ならば利益相反行為となってしまうために歓迎されない行為です。
たとえば弁護士が利害が対立する両者の代理人に原則としてなれないというようなものです。
基本的に不動産の売買では、売り手は高く売りたいし、買い手は安く買いたいという希望があるので、どちらかの(あるいは互いの)利益を損なうことになります。
以前から法的に規制しようという動きはありますが、業界の反対でなかなか進みません。

両手取引でも物件に何も問題が無く、買い手もすぐに見つかり、両者とも納得した金額にあまり頓着しない取引でしたら、むしろスピードが早く進むのですが、少し問題があればどちらかに不利益を被ることがあります。

しかし仲介業者としては、両者の代理人になれれば、手数料がそれぞれから貰えるために、どうしても1社で仲介をしたいところです。担当の人も自分の成績につながりますので尚更です。

それが次の囲い込みの問題へと関係しています。

囲い込み

本来、売却の依頼を受けた仲介業者は不動産業者全体で情報を共有しなければなりません。情報を故意に隠さないように法律で定められています。

ですので専属専任媒介、専任媒介契約を受けた場合、レインズ(Real Estate Information Network System)というネットワークシステムに登録することが義務づけられています。

(一般媒介には登録義務はありません)

しかし上にも書いたように、仲介業者としてはできれば1社で両手取引をしたいので、レインズに登録をしないことがあるというのが問題化してきています。

登録をしないと罰則がありますので、レインズには登録するものの、売り止めといって、他社から買い手の打診があった際に、実際に買い手は無いものの商談中としてシャットアウトしてしまうという方法も採られます。

売り主にとっては機会を損失することになります。

この手の囲い込みは週刊ダイヤモンドをはじめとして、かなりメディアでも取り上げられるようになり、三井、住友、東急など大手の不動産仲介会社が囲い込みに手を染めているという話も出ています。

重要事項説明のIT化(非対面化)

現在、不動産取引においては重要事項の説明が義務づけられています。
そしてこの重要事項は宅地建物取引主任者が対面で説明することになっています。

しかし賃貸ならまだしも、売買の場合はすべてを終えるのに1時間以上はかかるため、業者まで出向き重説が終わるとかなりの時間を取られます。
複数人がからんだりややこしい取引になると、もっと時間はかかるでしょう。

この重説をITが進化した今、ネットを活用しオンラインでできないかという議論が続いています。

これも業界の反対が多くたとえばこんな意見もあります。

重要事項説明書のIT化が招く不動産業界の危機

いろいろと書かれていても本質的にはポジショントークですし、私の経験でも対面でよかったという経験はありません。
なのですが、一概にポジショントークだけで済ませられるものでもなく、危惧として書かれているように、敷居が無くなることによって生じるトラブルは出てくるだろういう予想は容易につきます。

http://www.flickr.com/photos/32234442@N00/7631399552

photo by plewicki

本当にITベンチャーに気軽に開放して良いのか 

上記の問題点が大きく取り上げられるようになったのは、主にIT系の会社が中心になって提起していることが関係しています。
ですがこれまでも何度か書いたのですが、ここ最近のブームで不動産系に乗り出してきたベンチャーのサービスにはこれはちょっとと思うものは多いです。
IT関係は気軽にスタートアップに持って行けることもあって、昔からモラルの低い人間が少なくありません。
名前は出しませんが、成功者として名高いあの人やこの人も、ネット普及の黎明期にはよくこれで訴えられないなというか、実際に裁判沙汰になるような商売をしていた人もいます。最近でも、IPOがらみでもいろいろとありました。
(もちろん優秀で真面目な人はそれ以上に多いはずですが、どうしても芳しくない人の方が目立ってしまう....)

お金もそれほどかからないこともあり、とりあえずやってみてダメならやめる、というような見切り発車で乗り出してきてくることもめずらしいことではありません。
ですが普通の物の売買と異なり、不動産関係は非常に大きな金額が動くことと、法的な問題もかわってくるためにひとつの失態が人生にかかわることもあります。

基本的にはこうした変化は必要だとおもいますが、それでもあまりに気軽な気持ちで参入してくるところが増えると、かえって利用者が不利益を被ったりする可能性が高く、変化が後退してしまうおそれもあるので、慎重にお願いしたいところです。

空き家バンクを眺めていて気になったことを

今のところ、住まいを変える予定はないのですが、将来もこの場所に住み続けるべきなのかどうかという疑問もあります。
たしかに今の住まいは便利な場所にあるのですが、周囲の事情をみていますと、昔と比べると近所から小さなスーパーや店舗がかなり消えています。
大型スーパーがあるとはいえ、徒歩1キロ圏内からは外れていますし、まだ老後は先のこととはいえ手近で済ませようとなると、ネットスーパーやコンビニが頼りとなります。
反対にいくつかの駅から近いという利便性は、高齢になって出歩かなくなってくればあまりメリットにならないのではないかもしれません。 

そんなこともあり、時間があるときに、どこかいい住まいはないかなと、半分はネタ探しもかねて見ています。最近は空き家バンクもちょくちょく覗くようになりました。

空き家バンクだけでなく、地方自治体が行っている移住政策などもとても興味深いのですが、反面、気になったこともいくつかありました。

http://www.flickr.com/photos/14111752@N07/7502343154

photo by AlicePopkorn

空き家の登録物件に別荘が少なくない 

ひとつは空き家として登録されている物件のうち、地域によって別荘として建てられたものがかなりある、ということです。

もちろん別荘も人が住むことができる建物ですから、空き家として問題はないのですが、本来は一時的(年に数日から数週間)での暮らしを想定しています。

一般的な住宅とは異なることもあり、定住して1年24時間暮らすとなるとなにかと不便がでてくることがあります。

ガス・電気・水道のインフラが脆弱だったり、収納や部屋の配置などが日常生活にそぐわなかったり、生活圏から大きく外れているために行政の目が希薄な場所であったりもします。セキュリティ関連も気になります。

なにより日常の生活がクルマ前提になることや、維持管理がかなりたいへんなことも少なくありません。

わかって購入する分には良いのですが、あまり深く考えずに空き家を探していて、いざ現地まで長い時間をかけて下見に行ったのにイメージとはかけ離れていたり、購入後に無理が出ることもあるかもしれません。

今後、空き家の売買が浸透していくのでしたら、通常の住宅と別荘は分けるなどして掲載した方がよいのではないかとおもいます。
また、空き家の紹介と共に、こうした別荘を購入して日常の住居として使用する上での注意点などもしっかりと説明があれば、後々のトラブルを防げるのではないでしょうか。

農地の売買貸借には許可が必要

もうひとつ気になったのが農地です。
地方の空き家を購入する動機として、農業や家庭菜園、ガーデニングをしたいという人も多いようです。
そんな夢を叶える土地までついてくる空き家もあるのですが、なかには注意書きに農地とだけ書かれているものや、これは農地ではないかとおもわれる土地が入っていることもあります。

農地の売買や貸借は、農地法あるいは農用地利用集積計画に基づいて、農業委員会や市町村の許可を得る必要があります。
耕作機械の所有であったり、農作業に常時従事していないいけない(所定の日数)、面積などの条件があり、自治体によっても異なります。私自身は農地の売買は未経験なのであまり詳しいことはわかりませんが、あらかじめ専門家に相談して許可を得てからでないと登記もできませんので注意が必要です。

農業を行っていない人ですと、意外と見落としがちな点ですし、知らない方もいるのではないでしょうか。

http://www.flickr.com/photos/28792061@N05/12170348023

photo by kBandara

空き家バンクは性質上、遠方で土地勘のない人たちに利用されることが多くなります。
今はまだ空き家バンクもわかっている人が利用しているのだとおもいますが、空き家が人口に膾炙するにつれて、利用者は増加するのではないかと予想されます。
そのときまでにもう少しあまり不動産のことをわからない人たちのために改善できたらよいのではないかと、そうおもいます。

サブリース前提のアパート経営の話に乗ってはいけない

先日放送されたクローズアップ現代の内容が大きな話題を呼んでいます。

www.nhk.or.jp

私もこの手の営業をかけられて迷惑をしていたことがありましたので、他人事ではありません。
代わる代わる不動産業者が訪れて、アパート経営をしませんか、という営業をかけてくるのです。
もちろんすべて断りましたが、あの手この手、口八丁手八丁という感じで、高齢者の方とか騙されるのは無理もないのではないかとおもいました。

とにもかくにも、

わからないものに手を出してはいけない
美味しい話は向こうから簡単にやってこない

これは、投資にしろ、ビジネスにしろ、大原則です。

サブリース前提のアパート経営はするべきではない 

サブリースを前提にしなければならないという時点で、そのような場所でアパートを建てる話に乗るべきではありません。
一括借り上げで家賃保証と聞くと、空き室が出たときに業者側が損失を被ってくれるので安心というイメージがあります。
ですが当然のことながら、営利目的で事業を行っている業者が、自らが損をするようなサービスを提供するなどあり得ません。
当然、業者側としても考えていて、たいていのサブリースは、数年ごとに契約の更新を行いますが、その際に家賃補償額を引き下げてきます。
これを飲まなければ、サブリースの契約は解除されます。
サブリースといっても業者側は借主にあたるため、定期借地権契約でなければ、契約書があっても貸主側の大家側は著しく不利になります。
物件は当然に年月が経てば経つほど人気がなくなります。
しかしその分、空き室の補填はできないのですから、年を追う毎に家賃の補償額が減ってしまうのは苦しくなるでしょう。

他にも、建物の建築費を抑えたり、家賃保証の免責期間があったりと、大家側には不利なことが少なくありません。
それこそ業者が家賃や敷金を大家側に渡す前に倒産した日にはたいへんなことになります。

相続対策でアパート経営は本当に得なのか? 

こうしたサブリースでの被害が多くなっている背景のひとつとして、相続税が上がることに夜対策があるとおもわれます。

しかし、あまり深く考えずにアパート経営に乗り出せば、相続税以上の損失を被ることもあるでしょう。 
アパートを建てる予定の土地で、現在の需要はどうなのか、10年後でも需要はあるのか、維持管理をしていく予算は、などを考慮すると、おそらく現代日本の状況では一部の地域を除いてきわめて厳しい状況にあるのは言うまでもありません。

業者が本当に有望だと考えているのでしたら、他人にアパートを建てさせることはありません。

自社で土地を購入してアパートを建て経営する方が利益率は良いのは自明の理ですから、土地を売ってくれと持ちかけてくるでしょう。

多額の金銭を支払わなければならない話には、たとえ一見有利に見えても、一切耳を貸さないことが重要です。 

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被害者に落ち度はあっても騙す方が悪い 

今回というか今回も気になったのが、被害者を責め立てる論調が少なくない点です。 
もちろん被害者側にも落ち度はあるでしょうが、わざと誤認させて契約を取るような営業が問題です。

特にクローズアップ現代で例に出されていたようなサブリース契約の場合もそうで、実際に、業者が持ってきたパンフレットで、重要な項目を非常に小さい字で書いてあったこともあります。 

これまでいろいろな営業マンや経営者という人たちと接してきましたが、悪意ある人たちのなかでも、問い詰めればすぐに底が割れるような人ばかりではありませんでした。
話術もうまく、自信に溢れ、かといって過剰にもならないような、見事な振る舞いをする人も少なくないのです。

被害者側が欲をかいたと言われますが、元々その気がない人に欲を出させるのがこうした人間の仕業であり、誰しもちょっとした隙にいつ被害に遭うかはわからないのです。その点だけは気に留めておかれる方がよいとおもいます。

 

敷金を超えた修繕費! 支払義務のない追加請求の対策は

敷金を取り返すのは、理屈とは違って実際には難しいという話を前に書いたことがあるのですが、原状回復を超えた請求をされた場合の対処はきちんとした対応をすればそう難しいことではありません。
簡単という書き方をすると語弊がありそうですが、おそらくはじめて法外な請求を目にしたときは、その金額に動揺してしまうとおもいますので、とにかくまずは落ち着くことが重要です。

修繕内容の明細が送られてこない場合はすぐに請求します。
そして国交省のガイドラインがありますので、請求が本当に正しいのか付き合わせてみてください。

住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省

 

とはいっても国交省のものはちょっと表現が硬いので、SUUMOに掲載されたもう少しやわらかいものを。

suumo.jp

法外な請求の対応は弁護士経由で 

実際に原状回復義務を超えた金額を請求された場合、どう対処するかですが、無視するのはあまり得策ではありません。
たしかに相手が個人の大家レベルで、金額も少額なら無視し続けるという方法もないわけではないですが、架空請求とは異なりますので、やはり早めに拒絶の意志を伝えておくのが確実です。

そこで自分で行うのか法律の専門家にお願いするか、という判断になります。
相手にもよりますが個人の大家で金額も数万円程度の場合、はじめは手紙でこちらの意志を伝え、それでもさらに請求をしてくるようでしたら専門家に依頼、という方法でもよいかもしれません。

ただ相手が管理会社のように法人であったり、個人でもタチの悪いタイプでしたら、最初から専門家に依頼する方が無難です。
早めに弁護士に相談をして、内容証明を送るというのが一般的です。少々お金はかかりますが、弁護士に通知人代理人として送ってもらった方がよいとおもわれます。

内容証明は司法書士や行政書士でも代理で作成できますが、こちらも今後法的にも対抗できるというところを見せるためですので、やはり弁護士の方がよいでしょう。
基本的に、知識がなく弱いところから採る、ということが多いため、こちらをバカにして無理難題をふっかけてくる相手でしたら、かなりの確率でこれで収まるはずです。

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入居時に汚損箇所はメモを 

できれば、入居前に汚れや、破損など、退去後に問題になりそうな箇所は、しっかり具体的な内容のメモで残しておく方がよいでしょう。 
チェックした日付、汚損の内容(例えばシミなら場所、色、大きさなど)を箇条書きにして、そして可能ならデジカメで写真を撮っておきます。
単体では証拠としては弱いですが、大家(管理会社)の立ち会いの下で書類をというのはなかなか難しいですし、民事の場合はとにかくどんな書類でも証拠として提出することは可能ですので、

ただし、チェックしてメモを作成する際には、作成日の日付を必ず記載するのを忘れないでください。